Psyentific Blog - 16の性格

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自分・他人の性格を詳しく分析する方法を知りたい人の為に

性格診断テストの結果を信じるべきでない2つの理由

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出典:16 personalities test - AIESEC 

 

今回は何故MBTI等の性格診断テストがあまり正確ではないのか、ということについて解説します。

 

何故こんな話をするのか。このブログを読んでいる方の中には「わざわざ理論を理解し自分で分析しなくても、テストを受けてもらって結果を見ればいいんじゃ?」と思っている方もいると思います。例えばMBTIの公式サイトではかなり詳細に各性格の特徴が説明されていますしね。かく言う自分も、MBTIを受けた当初はそう思っていました。

 

しかし、端的に言います。性格診断テストの結果を安易に受け入れるのは危険です。

 

MBTIを含むネットに転がっているほとんどの診断は信憑性、正確さに欠けます。仮にテストを受けている人がINFJだと診断されても、実はISFJ、なんてことも十分にあり得ます。「先月はINTPだったけど今回はINFPだった」等、テストの結果が受けるたびに変わるという現象もSNSでよく見かけます。

 

間違った性格を受け入れてしまうと自分がどんな人間なのかをきちんと知れないまま生きていくことになります。これは確実に人としての成長を妨げ、人間関係等にも支障をきたす可能性も考えられます。他人に誤った診断を伝えれば、同じ問題を引き起こしてしまうでしょう。

 

性格診断テストが信憑性に欠ける理由、それは大きく2つあると考えています。

 

 

 

 

理由1:テストを受ける側の問題

 

バイアス―これは多くの人が避けられない問題でしょう。

 

自分の弱さや至らなさを認めることは容易ではありません。特に10代20代の間は精神的に未熟な為、過剰な自信・弱さに対する恐怖を持っていても不思議ではありません。テストを受ける際にこういった気持ちが回答を左右し、偽りの答えを基に性格を診断してしまいかねません。

 

他の人からの評価や目を気にして、素直に回答出来ないかもしれません。

 

「協調性が強いですか?」「計画的に行動しますか?」「社交的ですか?」

 

こういった質問に対して「全く当てはまらない」と答えるのは、一般的に良しとされがちな価値観に背く為ためらわれるかもしれません。自分に素直になれないと、正確な診断を受けることは難しいです。

 

また、自信を持って素直に答えることが出来てもそれが正しいとは限りません。これは特に6番目の機能であるCritic、7番目のTricksterに関する質問に起こりやすいでしょう。

 

例えば「周りの人の感情に敏感だ」という問いに対し、FeをCritic/Tricksterに持つ人が「とても当てはまる」と答えても不思議ではありません。何故ならCritic/Tricksterの機能はどちらも本人視点では上手く扱えているが、他人視点では扱えていないことが分かりやすい機能だからです。つまり、本当は得意ではないことを得意だと無意識に言い張ってしまっているわけです。これでは正確な診断は出来ません。

 

別の問題として、「特定の性格への憧れ」も考えられます。これは何度もテストを受けている人や、ある程度MBTI等の知識がある人に起こりがちな問題だと思われます。所謂「レアタイプ」と呼ばれる珍しい性格であって欲しい、自分がなりたい性格の結果が出て欲しい。こういった気持ちを持ったまま回答してしまう可能性は大いに考えられます。これでは当然自分のバイアスに結果が左右され、正確な診断は出来ません。

 

8つの機能については:

psycjunkie.hatenablog.com

 

Critic/Tricksterについては:

psycjunkie.hatenablog.com

 

 

理由2:テスト側の問題

 

どちらかと言えばこちらの理由の方が深刻で、MBTIを含むネットに転がっている診断の殆どはこのブログで解説している理論を大衆向けに簡易化したものです。人の性格の多くの要素・一面が分析に含まれておらず、結果として正確性に欠いています。なるべく手軽に診断しなければいけない以上、これは現実的に避けられない問題ではありますが。

 

MBTIは特に良い例です。実はこのテスト、人の最も得意な分野(1番目、Heroに当たる機能)と次いで得意な分野(2番目、Parentに当たる機能)しか分析していません。

 

Hero、Parentについては:

psycjunkie.hatenablog.com

 

例えばテストで「INTJ」という結果が出たとしましょう。このブログで過去に解説した話(下記参照)に基づくと、INTJの機能の配列は

 

  1. Ni
  2. Te
  3. Fi
  4. Se
  5. Ne
  6. Ti
  7. Fe
  8. Si

 

となります。が、MBTIの場合だとこうなります。

 

  1. Ni
  2. Te

 

psycjunkie.hatenablog.com

 

つまり、3~8番目に存在している機能の配列が定まっていないということです。1、2番目以外の機能がどの様にINTJの性格を形作るのか、ということを全く考慮していません。一見詳しく分析されている様に見えますが、実際のところMBTIの分析は表面的に過ぎず、各性格の特徴を捉えきれているとは言えません。

 

まとめ

 

性格診断テストは信憑性に欠ける、正確ではない。受ける側に問題があることも多いでしょうし、テストそのものも簡易化されている以上あまり当てになりません。しかし、こういったテストに価値が無い、とは思っていません。

 

テストを受ければ自分にしろ他人にしろ、分析する際にある程度性格の目星を付けることは出来ます。出た結果を基に理論を用いて確認していけばいいわけです。他人に興味を持ってもらうキッカケ作りにも便利でしょう。いきなり理論から入るのは難しい、抵抗がある、という人も多いでしょうしね。

 

MBTI等のテストはあくまで目安に過ぎません。あまりうのみにせず、本当に性格を分析したいと思う方は理論を学ぶべきだと考えています。