ENTJ-野心的な統括者
今回はENTJについて解説します。「リーダー気質」「計画的」「野心家」―こういった言葉がENTJを端的に表しています。常に合理的な選択を選び続け、皆が認める成功者にのし上がる素質を持っています。進撃の巨人の「エルヴィン・スミス」や、かの有名な「ドナルド・トランプ」もENTJだと言われています。ENTJのCognitive Functionの並びは以下です。
1. Hero:外向的思考(Te)―合理的に考え、他人の考えを読み取る力
2. Parent:内向的直感(Ni)―自分の願望・未来を感じ取る力
3. Child:外向的知覚(Se)―現実を把握し経験を与える力
4. Inferior:内向的感情(Fi) ―道徳的に考え、自分の感情を把握する力
5. Nemesis:内向的思考(Ti)―論理的に考える力
6. Critic:外向的直感(Ne)―他人の願望・未来・可能性を感じ取る力
7. Trickster:内向的知覚(Si) ―自分の経験を記憶として蓄積する力
8. Demon:外向的感情(Fe)―倫理的に考え、他人の感情を読み取る力
Cognitive Function(Te・Ni等のアルファベット)や性格分析に使われている理論(Hero・Parent等)について詳しく知りたい方は、是非過去の記事を参考にしてみて下さい。
目的の為ならば手段は選ばない
ENTJが周りから一目置かれる所以、それは持ち前の合理性にあります。常に物事を客観視し、最適解を選択し続ける。TeがHero、FeがDemonであるENTJはそういった意味で手段を選ばず、客観的な正しさを武器に成果と利益を上げ続けます。
地位や肩書、ネームバリューにも目がありません。これらは全て「周りからの評価」に直結しています。誰にとっても一目置かれる存在でいたい。この願望は後述するNiとの相乗効果によって強い野心を生み、ENTJを突き動かす原動力となります。
またENTJは他人の考えを読み取り、吸収することに長けます。専門家や著名人の意見は勿論、「優秀」な人間を集めることで彼・彼女らの考え方を情報とし、合理的な判断に役立てます。
やりたいことは譲れない
将来の夢や目指す目標といった願望。自分の方針を定めたENTJを説得するのは至難の業です。ENTJをこうさせるのはParentであるNiでしょう。直感的に感じ取った自分の未来やゴールを尊重し、周りに縛られることなくこれらを実現させたいと思っているはずです。
HeroやChildのNiと違い、ParentのNiには責任感が伴います。あれも欲しい、これも欲しい、と闇雲に何かを欲することはしません。冷静に考えた上で自分が本当に望む未来を把握し、何としてでもその目標に辿り着こうとするでしょう。
エンターテイナーという意外な一面
一見ENTJは人に関心を持たない冷徹な人間に見えるかも知れません。これは誤解です。パーティーや行事を主催し、参加者が楽しめる空間を提供する。人に良い経験を与えて楽しませるという点において、ENTJはSeをHeroに持っているESTP・ESFPに引けを取らないでしょう。これを可能にするのはChildであるSeです。
ENTJは他人に良い経験・影響を与えることが好きで、積極的に会話を投げかけたり、友達を遊びに誘ったりします。一人で静かにうずくまっていたり、中々周りに溶け込めないような人を見つければ、子供の様な純粋さで声をかけるでしょう。
また、Seは現実で起こっていることや他人の動向を把握する機能でもあります。これはNiとシナジーがあり、「周りの人はどんなことをしているんだろう」と情報を探して回り、気に入ったことは「自分もやりたい」となることも多いです。その為ENTJは流行にも敏感で、ホットな話題にはすぐに食いつくでしょう。その反面、身近で起きていないことや過去の事象には鈍く、忘れっぽい一面もあります。これはTricksterであるSiによるものです。
高みを目指す生粋のリーダー
「大企業のCEO」「巨大組織のリーダー」
ENTJにこういったイメージを抱く人は多いでしょう。事実、ENTJはビジネス界において最もリーダーに向いた性格だと感じます。
理由の一つは先述したTeです。どんな会社や企業も、利益を上げることが目的です。その為には感情論(Fi・Fe)に流されず、かといって自分の考え・やり方(Ti)に固執してもいけない。そういう意味でTeはビジネスにおいては強力な武器となるでしょう。ましてやENTJのTeはHeroです。柔軟かつ的確な決断力において右に出る者はそういません。
当然ながらNiも絡んできます。
「これからどんなことを成し遂げたいか」「これからどんな企業に成長させたいか」
こういった願望や目標が自然と生まれ、常に上を目指す向上心に繋がります。故にENTJは全体を取り仕切るリーダーに向いているのです。今以上を目指す野心無くして成長はあり得ない、そう思えるからこそ自分のビジネスを革新的なアイディアと共に拡大出来るのです。
しかし会社が成長するということは、それだけ社員も成長しなければならず、教育者が必要となります。周りの人間に影響を与え成長させる-これもまたSeを持つENTJの役割です。自分自身がメンターのような立ち位置となり、自分のスタンダードに達するまで面倒を見る。所謂手塩にかけて育てる、と言うやつです。これも前向きな気持ちで他人に経験を与えられるからこそなせる業です。
このようにENTJは組織に君臨するトップに相応しい合理性・野心・教育方針―これら全てを持っています。故に生まれながらのリーダーで、業界を変革する存在となり得ます。
善人か悪人か
「自分は善人なのか」「自分は良いことをしているのか」
こういった不安はInferiorであるFiに関係しています。
ENTJは自分にモラルがある、人として価値がある、といったことを素直に受け入れることが出来ません。ましてや他人に指摘されるとかなりのストレスとなり、Seと合わさってすぐにカッとなってしまうことも。失敗を通して自尊心を失うことも恐れる為、意外と慎重な性格でもあります。
ENTJは自己評価に不安があるからこそ、HeroであるTeを頼ります。皆に認められるような存在となり良い評価を貰えれば、自分で自分のことを認められる。そう思っている筈です。
間違うことへの恐怖
「自分は馬鹿だ」「自分の考えは間違っている」
NemesisがTiであるENTJは、自分の論理性や考えに自信を持つことが出来ません。これは時に学歴コンプレックス等にも繋がることがあり、恐怖や劣等感故に人一倍勉強していても不思議ではありません。
Tiを克服する際にも、やはりTeを使います。常に頭が良いと思う人(TP等)の傍にいることで考えを取り込み、自分の考えにしようとします。読書や勉強もTeを使っていると言えるでしょう。信憑性のある情報を学べば自ずと知識が身に付き、自分の考えもより正しいものになるからです。
無責任・非現実的な未来は選ばせない
「将来こんなことをやってみたい」「自分の目標は○○だ」
ENTJに自分の願望を伝えた時、素直に認めてもらえることは無いでしょう。ENTJのCriticはNeです。他人の欲する未来や願望には人一倍批判的で、無謀な目標を持っている人を放っておくことは出来ません。
勿論これは必ずしも悪い一面ではありません。好ましくない方向に進もうとしている人たちを引き留める、教師の様な存在は時に必要です。ただ、あまりにも過度な否定は束縛に繋がります。「あれをするな、これもするな」と他人のやりたいことを否定し続けることは、いずれ反発や憎しみを生むので避けましょう。
まとめ
ENTJの特徴を簡単にまとめると:
- 他人の考え・客観的な正しさを基に判断を下し、合理的な人間であろうとする
- 冷静に自分の願望を把握し、設定した目標に向かう
- 他人を楽しませ、良い経験を与えたがる
- 持ち前の合理性・野心・影響力で、リーダーとしてのし上がる
- 自分の道徳観・自己評価に不安がある
- 自分の考え・論理性が間違っていると恐れている
- 他人の願望には厳しく、無謀な目標設定はさせない
となります。