Psyentific Blog - 16の性格

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自分・他人の性格を詳しく分析する方法を知りたい人の為に

人の性格を形作る8つの機能とは

今回は、Cognitive Functionと呼ばれる、性格を形作る8つの「心理機能」について解説します。自分のブログにおいて、人の性格=8つの心理機能の並び、と定義しています。この並びについては記事の最後にリンクがあるので、そちらを参照して下さい。

 

8つの機能の内、4つは情報収集を司る機能です。これらは総じて「Perception(以下P)」と呼ばれます。残りの4つは判断を司る機能で、これらは総じて「Judgement(以下J)」と呼ばれます。

 

更に細かく分類すると、Pの内2つの機能は知覚(Sensation、S)と呼ばれます。簡単に言うと、現実や経験から情報を集める機能群です。残りの2つは直観(iNtuition、N)と呼ばれ、ひらめきや予感等、現実に起きていないこと(=未来)から情報を集める際に使います。Jの内2つの機能は思考(Thinking、T)と呼ばれ、物事の正誤を判断する機能群です。対して感情(Feeling、F)物事の良し悪しを判断する機能群です。では正しさと良さ、この違いは何なのか。

 

T機能で正しさを判断する時、次のような要素を考慮します:理論・データ・数値・事実・効率・整合性・証明・論理・合理。基本的にこういった基準で判断したことは「正しい判断」だと言えるでしょう。

 

F機能で何かを判断する時、次のような要素を考慮します:感情・気持ち・優しさ・思いやり・プライド・尊厳・正義・平等・道徳・倫理。基本的にこういった基準で判断したことは「良い判断」だと言えるでしょう。 

 

S・N・T・Fの機能はそれぞれ方向性と呼ばれるものを持っています。自分に対して働く機能であれば内向的となり、大文字アルファベットの後に小文字の「i」が付いています。他人や周りの世界に対して働けば外向的となり、小文字の「e」が付きます。

 

ざっくりと説明すると、8つの機能はこのように分けられています。詳しく知りたい方は下記を参照して下さい。

psycjunkie.hatenablog.com

 

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Introverted Sensing(内向的知覚)― Si

 

Siは「自分の経験を把握し蓄積することで情報を集める力」を司る機能です。経験とは現実において、自分の五感を通して感じ取る情報。この機能が発達すれば自分が今どんな経験を与えられていて、どういった経験を望んでいるのかを自覚出来ます。今日は○○を食べたい。寝る時はこの布団で寝たい。こういう環境(土地や見える景色)で生活したい。いずれも自分の五感に訴えかけてくる情報ですよね。

 

また情報を得る為に自分が実際に物事を経験する必要がある為、積極的に色んな経験を得ようとします。食べたことのない食べ物をすぐに買ってみたり、行ったことがない場所に行ったりする、といった例が挙げられます。ただ、一度気に入った経験を見つけたら、それを繰り返し何度も経験しようとすることもあります。そういった意味で、色んな経験を求めるのは自分が好きな経験を見つける為、と言えるかもしれません。

 

Siは自分の経験を記憶として蓄積する際にも働きます。Siが発達している人にとって過去の経験は重要な情報源であり、記憶を参照することで情報を集めるのが得意です。この為膨大な量の情報を長期記憶として保存することが出来、数十年前の出来事すら思い出すことが出来る人もいます。

 

自分が思うに、Siの記憶というのは単なる記憶ではありません。昔読んだ本の内容を覚えている、昔行った場所を覚えている、昔学んだ知識を覚えている。これらは確かに記憶ではありますが、「経験の記憶」とは言い難い。あくまで情報の書き写し、二次元的・平面上の点の様なものです。

 

Siの記憶は、より鮮明で具体的だと言えます。あの時あの場所であの人とこんな話をした。以前食べたあの料理はこんな味がした。あの時あの場所でこんな景色を見た。この様に、経験の記憶には「色」が付いています。自分の経験を鮮明に、あたかも録画を見返しているかのように、再現出来ると考えています。言うなれば三次元的・立体的な構造です。

 

加えて、Siは我慢強さ・堅実性・忠誠心・責任感をもたらすともされています。多少のストレスや不快感にも動じず、耐え忍ぶ。ルールや規則に従い、コツコツ努力を続ける。自分を必要としてくれる人達に忠実に従い、尽くす。自分がやりたいことや欲望に飲まれず、自己を律することで「やるべきこと」をやる。総じて、「真面目さ」「安定感」を感じさせる機能でしょう。

 

キーワード:経験の蓄積、長期的な経験の記憶、自分の経験へのこだわり、忍耐力、忠実

  

Extraverted Sensing(外向的知覚)― Se

 

Seは「他人の経験・身の回りの現実を把握することで情報を集める力」を司ります。この機能が発達すると、他人の経験や身の回りで起きている事象に敏感になります。他の人が今何をやっているのか、今現実では何が起きているのかといったことに注意が向きます。結果、その場その場での状況把握力、短期的な記憶力に優れたり、流行に敏感になるといった特徴が現れます。

 

記憶力という観点でSiと比較してみると、Seは「自分の外」に記憶を残すのに対し、Siは「自分の中」に記憶を残します。Seユーザーはよく「物」に触れた瞬間に、その物に紐付けられた記憶が想起されると言います。テーブルに置いてある書類を「見て」提出することを思いだしたり等。

 

 

加えて、Seは「経験を与える力」でもあります。これは他人・世界に経験を与え、それに対する反応を見ることで情報を集めようとしているからです。この為Seが発達すれば自分が現実に与えている影響、そして他人が望んでいる・必要としている経験を把握出来るようになります。誰かを遊びに誘う、イベントを主催して皆を楽しませる、料理を振る舞ってあげる。この様に、Seにとって経験を与えて他人を楽しませることはとても重要です。

 

この経験を与える力は人だけではなく、周りの物や世界にも働きます。端的に言えば「現実を変える力」です。所謂工学系の人や技術者、アーティストやパフォーマーといった人達の多くは強いSeを持っている場合が多いでしょう。自分の体を使い、物理的な環境を把握し変化を与える。これが建造物や精密機械を生んだり、アート作品やステージパフォーマンスといった形で具現化する訳です。

 

また、Seは他人に良い経験を与える見返りに忠誠心を求めようとします。自分はお前に良い影響を与えてやれる。だから自分に付いてこい。きっとこう思っている筈です。

 

Seが発達している人は「今を生きる」こと、そして「現実」を重視します。過去や可能性に注目するのではなく、その場その場を全力で生きることをモットーとします。その為行動力に溢れ、思い立ったが吉日精神で生きているでしょう。

 

キーワード:経験の提供、短期的な記憶、他人の経験の把握、現実に働きかける、現実主義、忠誠心を求める、行動力

 

Introverted Intuition(内向的直観)― Ni

 

Niは「直観的な自分の未来・理想のイメージを通して情報を集める力」を司ります。この機能は自分の未来を見通すことを得意としており、発達することで将来の目標を見据えて行動したり、自分の理想像を把握することが出来るようになります。時には数年先の自分の姿が直感的に浮かぶこともあり、長期的な予想を得意とします。

 

将来自分はこんな人間になっていたい。こんなことを成し遂げたい。その為にはこうすればいいだろう。この様に「自分が辿り着きたい未来」を常に意識しているだけでなく、「そこに至る為の道筋」をも思い描くことが出来ます。

 

Niが発達している人にとって、自由という概念はとても重要です。自分の進みたい道、目指したい未来をはっきりと把握できている為、その未来を壊されるのは勿論のこと、自由を奪われ目標にたどり着けない状況を嫌います。またNiは「意志の力」でもあると言えます。常識やしきたりといったしがらみに囚われることは無く、目的を達成する為にはどんな努力も惜しまない。自分の中にある意志で道を切り拓いていくでしょう。

 

Niはよくスナイパーライフルに例えられます。一度に1つのターゲット-つまり1つの可能性しか見ることが出来ませんが、その分遠い未来の事象でもハッキリと予期することが出来ます。

 

イメージとして、広大な草原の中から一本の針を見つけようとしている、と想像してみて下さい。混沌とした情報の羅列(草原)の中にある一つの答え(針)。どうしてか、Niはこの針を直観的に見つけることが出来るのです。

 

「何となくこうすべきだと思う」「何となくこれが答えだと思う」

 

まるで天啓の様に一つのビジョン・インスピレーションが浮かんでくる。暗闇の中を一筋の光が照らす、そんな感覚だと表現出来ます。

 

別の言葉でNiを表すなら、「収束」。異なる事象や考えが収束していき、一つのイメージへと辿り着く。無意識の内に様々な事象に共通する点を洗い出し、一つの抽象的・象徴的な概念へと昇華させているのかもしれません。

 

Niは表現・言語化が難しい所も多く、故に勘違いされやすい機能だと感じます。例えば「自分は将来お金持ちになりたいと思っている→Niが強い!」といった意見を見聞きしますが、これはTeによるものだと考えた方がしっくりきます。お金は客観的に認められた価値でしかありませんし、何より自分を高みへと導こうとする意志の力・推進力も感じられません。

 

キーワード:自分の未来・可能性の把握、自由、長期的かつ局所的な予測

  

Extraverted Intuition(外向的直感)― Ne

 

Neは「他人・世界の可能性を模索し把握することで情報を集める力」を司ります。この機能は事象に対する無数の可能性を直感的に示唆したり、他人の未来・可能性・意図を見抜く力を与えます。Neが発達すればたくさんのアイディアや可能性を思い浮かべることが出来たり、まだ現実で起きていない事象を予見することが出来ます。

 

「近い将来社会はこう変わるだろう」「あの人はこういった意図で自分と接している」

 

自分以外の存在がどの様な道を歩み、どういった行動を取ろうとしているのか。こういったことを把握することに長けます。

 

この性質上、Neが強い人は柔軟性が高く、適応力があると言えます。仮に行き詰っても直ぐに別の道を探し出せる。未知の状況下でも可能性を模索し、ベストな選択肢を見つけ出す。こういった力を持っています。

 

Neは「他人に良い未来を与えようとする力」でもあります。周りの人の未来や成し遂げたい目標。こういったものを把握し、それらを叶えてあげようとします。その手法は先述したように、可能性の提示です。○○に興味があるのなら××も出来るよ。○○をしたいならこういったやり方があるよ。出来るだけ多くの可能性・選択肢を与えることでその人にとってベストな道のり、もしくはベストな未来を照らし出そうとします。

 

Neはショットガンに例えると理解しやすいと思います。Niのスナイパーライフルのように遠い未来を見据えることは難しいですが、その分複数の可能性を同時に予見することが出来ます。

 

Niが収束なら、Neは「拡散・分岐」。一つのアイディアや事象が無数に枝分かれしていき、派生していく。生物学で言う「系統樹」の如く、世界が無限に広がっていくかのようなイメージを思い浮かべて下さい。

 

キーワード:他人・世界の未来・意図の把握、可能性の模索、短期的かつ広範囲な予測

 

Introverted Thinking(内向的思考)― Ti

 

Tiは「論理的に考え判断を下す力」を司る機能です。論理的思考とは事実を積み上げていくことで一つの「普遍的」な解に辿り着く過程を指します。

 

つまりTiは

1.与えられた情報を一つずつ分析する
2.各情報に対して「正しいか」「間違っているか」を判断していく
3.全ての情報に対する正誤(=事実)を積み重ね、ある一つの解に辿り着く

 

こういう考え方をします。そしてもし仮に答えに至るまでの過程に一切間違いが無ければ、その解は普遍的である筈。誰が考えても必ず同じ答えを得られる、そして考えに至る道のりが正しければ「常に」正しい、という意味です。数学の証明等は良い例です。

  

また、Tiによって導き出される結論は「自分にとっての正しさ」であり、主観的なものです。自分が納得出来る解を導き出すことが全てで、他人の考え方や客観性は重視されません。その為効率やリソースを度外視している、という問題があります。

 

一つ注意して欲しいのが、Tiによる答えが必ずしも論理的に正しい訳ではありません。Tiはあくまで論理的に「考える力」であって、その考えの正当性を保証する機能ではありません。なので「Tiが強い人=論理的に正しい人」ではなく、「=論理的に考えるのが得意な人」です。

 

キーワード:論理性、主観的な正誤の判断、普遍的な正しさ

 

Extraverted Thinking(外向的思考)― Te

 

Teは「合理的に考え判断を下す力」を司る機能です。合理とは事実を基に「最も効率的」「最も的確」な答えに辿り着くことを指します。

 

Teは

1.与えられた情報・事実を基にパターンや傾向を類推する
2.それらを比べる・組み合わせることで最適解を見つける

 

こういった思考を得意とします。

 

客観的な正誤の判断を行う性質上、Teには周りを最適化・効率化する力があります。この状況下で、与えられたリソースをどう使えば最も効率よく成果を上げられるか(戦略)。○○に辿り着ける最短の道はこれだ。こういった考え方が合理的な思考です。

 

論理と比べた際、普遍的である必要が無く、特定の状況下で最も正しいとされる判断を下すのが合理です。なので即効性や効率では論理に勝ります。ただその代わり普遍的では無い為、状況が変われば今までの正しさが失われる、という弱点があります。

 

Teが発達している人にとって、他人の考え(客観的な考え)はとても大切な判断材料です。故に読書等を通して知識を取り入れるのが好き・他人の考えに敏感・思考を読み取ることが出来る、といった特徴があります。

 

また情報の信憑性や判断の客観性を判定する際、権威・ブランド・経歴・評判等の社会的もしくは一般的に認められている価値を尊重します。分かりやすく言うと、「皆が正しいと認めることを信じがち」ということです。これはTeの別の側面、「評価への拘り」という点にも繋がります。Teは他人からの評価に目がありません。自分の功績を認められたい、有能な人間だと思われたい。こういった欲求が強く、自分の価値を客観的に認めたい、という願望を持っています。

 

Ti同様、Teによる答えが必ずしも合理的に正しい訳ではありません。あくまで合理的に「考える力」だということは留意しておいて下さい。 

  

キーワード:合理性、客観的な正誤の判断、最適化

   

Introverted Feeling(内向的感情)― Fi

 

Fiは「自分にとっての良し悪しを基に判断を下す力」を司る機能です。これは道徳観モラルとも言えます。Fiによって判断を下す際、「自分がどう感じるか」が全てです。自分が良いと感じることを善とし、悪いと感じることを悪と判断します。

 

Fiが発達している人は常に善行を行うことで良い人間になろうとし、自分が良い人間だと信じています。この為強い正義感・モラル感・プライドを持っており、他人が賛同せずともこれらに反する判断は下しません。

 

また、自分の感情の把握にも優れ、自分がどう感じているかを常に把握しています。そして、本人にとってこの感情は尊重されなければならないもの。自分が嫌なことはしませんし、自分を不快な気分にさせることからも距離を置きます。その代わり好きなことにはとことんのめり込み、追求します。

 

Fiは「感性」にも関係していると言われており、所謂「芸術性」や「美的センス」にも影響を与えるでしょう。実際アーティストや作家の様な人達はFiが強い傾向があります。これは恐らく「自分の感じたもの」を把握し、アウトプットすることに秀でているからでしょう。

 

F機能の判断が「絶対的な善」だという保証はありません。Fiは確かに他人や状況に依存しない、確固たる善意をもたらします。ただ裏を返せば「独善的」。あくまで主観的な善だということは留意して下さい。

 

キーワード:自分にとっての良し悪しの判断・道徳観・自分の感情の把握

 

Extraverted Feeling(外向的感情)― Fe

 

Feは「他人にとっての良し悪しを基に判断を下す力」を司るCFです。これは倫理観とも表現出来ます。Feを使う際、他人の善悪の判断が基準となり、それに従って判断を下します。これは感情にも当てはまり、自分ではなく他人の感情が優先されます。つまり、周りの人が良いと感じること、周りの人の気持ちが最も重視される判断基準です。所謂「空気を読む」際はFeを使っています。

 

Fi同様、Feが発達している人も善行を通して良い人間になろうとします。ただ、その裏にある理由やモチベーションは全く違う。「周りから良い人間だと思われたい」という客観的な理由であり、自分がどう感じるかは二の次です。

 

Feは他人の感情を察知し、感情を共感・共有する力でもあります。Feが発達している人が喜んでいる人と接すれば嬉しいと感じるでしょうし、悲しんでいる人と接すれば悲しいと感じるでしょう。故に同情したり、慰め役になることで他人の感情をなだめようとしがちです。逆に、自分の感情を他人と共有しようとすることもあります。

 

Feはその判断基準がどうしても他人の価値観に依存しているので、「誰も傷付けなければ何をしてもいい」と判断してしまうこともあります。誰からも指摘されなかったり、周りの人間が喜びさえすれば、時には過激な行動を取ってしまうこともあります。

 

FiとFeを比較すると、前者は「同情」後者は「共感」という表現がしっくりきます。Fiは「自分の感情」に注目するので、「悲しんでいる人を見て自分も悲しくなる」。自分も相手と同じ感情を抱いている様な感覚です。対してFeは「相手の感情」に注目するので、「悲しんでいる人がいることが悲しい」。あくまで相手の感情を理解するに留まります。

 

キーワード:他人にとっての良し悪しの判断・倫理観・他人の感情の把握・共感

 

8つの機能がどうやって性格を形成するのか

 

8つの機能がそれぞれどのような役割を持っているのか、それを今回は紹介しました。次は「具体的にこれらの機能がどう人の特徴形成に繋がるのか」について解説します。

 

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