全てはここから始まったーユングの性格分類モデル
今回は、ユングがどのように性格を定義したか、そして彼の考えを元にどのようなモデルが生まれたかについて解説したいと思います。
かなり理論的な内容が多い為、取り敢えず自分・他人の性格を知りたいと思っている方は下記の記事から読み始めることをお勧めします。
性格を体系的に分析する際に必要となるのが、性格の定義です。「性格」というものが具体的に何を指しているのかが分からなければ、何処にも進めません。ユングの著作の一つである“Psychological Types”によると、性格とは生き方、つまり「どのように自分そして周りの世界と向き合うか」と書かれています。
人の生き方は一つではありません。真面目にコツコツと努力を積み重ねて生きる人がいれば、その場の流れに任せて破天荒に生きるような人もいます。この違いを生み出しているのは何なのでしょう。ユングは自分の経験測からAttitude TypeとFunction Typeと呼ばれる2つの カテゴリーを用いることで性格の違いを説明出来ると考えました。
Attitude Typeーあなたは内向的?外向的?
ユングはAttitudeを「心理的エネルギーの方向」だと定義し、Introverted Type (内向的、以下I)とExtraverted Type(外交的、以下E)ーこの2種類のAttitude Typeがあると考えました。
Iはエネルギーを自分に向けている人を指し、自分の中で起きていることに意識を向けています。その結果自分の感情・思考・経験に対して敏感である人が多いです。また、主観的な行動原理を持っている人が多いともされています。
これに対しEはエネルギーを自分の外に向けています。世界で起きていることに意識を向けるため、周りの人間の感情や考えに敏感だったり、積極的に周囲に影響を与えようとする人が多いでしょう。また、客観的な行動原理を持っていることが多く、周りでの出来事に影響を受けやすいと言えます。
Function Typeーどの様に世界を見つめ行動するか
性格を分類する2つめのカテゴリーであるFunction Typeは、情報の集め方と判断の下し方の違いを説明する為に作られました。人は生きる上で常に何らかの方法で情報を受け取り、それに対して判断を下します。これらを行う時、人はFunction-つまり何らかの機能を使っています。どの機能を優先的に使うかは人によって個人差があり、この優先順位によってFunction Typeが決まります。
ユングは4つの機能があると考え、それぞれをSensing(知覚、以下S)、iNtuition(直感、以下N)、Thinking(思考、以下T)とFeeling(感情、以下F)と名付けました。この内SとNは情報収集を司り、TとFは判断を司ります。
Sは現実での刺激や経験を通して情報を集める機能です。食事、運動、人との会話―こういったものが現実での経験に含まれます。Nは直感やひらめき等、突発的な発想を通して情報を取得することを指します。「理由は分からないけどこうなる気がする」と感じた時は、Nを使っていると言えます。
Tはデータや知識を元に論理的又は合理的な判断を下すことを意味します。言い換えれば、「正しい・最適な答え」を導き出したり判断する力とも言えます。これに対しFは「論理的な正しさ」ではなく「良し悪し」の判断に使われます。道徳的又は倫理的に正しいと感じる判断を行う時は、Fが機能しています。
ユング以降の性格分類モデル
ユングは上記のAttitude TypeとFunction Typeを用いることで、性格を8種類まで分類しました。その後も研究は続けられ、ジョン・ビービー(John Beebe, 1939~)という心理学者が性格を更に細分化し、16種類に分類できる8 Function Model を考案しました。
このモデルは4つの機能(S、N、T、F) とAttitude Type(I、E)を一つに組み合わせ、8つの「Cognitive function」と呼ばれる新しい機能群を定義付けました。それぞれの機能をどれだけ上手く扱えるかーつまり発達度・使用頻度によって1から8番のどこかに配置します。その配列によって人の性格は決定付けられる、というのがこのモデルの根本的な考えです。
このブログで紹介している各性格の分析・解説等は、この8 Function Modelを基に行っています。詳しく知りたい方は下記を参考にして下さい。