Psyentific Blog - 16の性格

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自分・他人の性格を詳しく分析する方法を知りたい人の為に

Fi・Feの価値ー正しさだけで世界は回らない

(Photo: jorgen mcleman/Shutterstock)

出典:https://psmag.com/social-justice/morality-can-trump-tribalism-83378

 

最近質問箱で「S機能の立場を脆くしている」や「Fiの価値とは何か」といった意見・質問を受けました。性格・機能間に優劣関係は無い。そう謳っておきながら、S機能・F機能の良さや魅力を十分に伝えきれていなかったという結論に至り、個別に記事を書くことにしました。

 

今回はSiとSeに引き続き、FiとFeに焦点を当てたいと思います。同じ判断機能であるTiやTeと比べると「実用的な価値が薄い」「結局“良い人”が馬鹿を見る」。こう感じてしまっている人も多いでしょう。ただ、これは勘違いであるということ、そして今まで伝えきれていなかったF機能の魅力を紹介します。

 

性格を形作る機能については:

psycjunkie.hatenablog.com

 

Si・Seの魅力については: 

psycjunkie.hatenablog.com

 

 

 

 

Fi-気高さとプライドを

 

Fiはよく「自分の感情」や「自分の気持ち」といった側面ばかりが注視されます。結果Fiユーザー、特にFPは「感情的」「自己中心的」といったレッテルを張られがち。しかし、これはFiという機能の表面、もしくは一部を掠っただけに過ぎません。

 

自分の感情が分かるという事は、「自分が自分に対してどう思うか」が分かるという事でもあります。○○した自分は良い人なのか。○○出来る自分は価値のある人間なのか。Fiユーザーがそこで自分に満足出来なければ、何としてでも自己肯定感を得る為に行動を起こします。

 

「プライド」

 

これはFiによってもたらされるものであると、自分は思っています。ではプライドとは何か。端的に言えば、自分の価値観を曲げず、自分を好きだと言えることではないでしょうか。決して自分を卑下せず、安売りせず。きちんと評価と尊敬に値する、価値ある存在だと自負することが出来るのは、Fiを持つ人の力でしょう。

 

プライドが高い人は「傲慢」「調子に乗っている」等、あまり良い評価を受けない印象があります。確かに過剰なプライドは問題です。ただ、自分を適切に評価せず、過度な自己否定によって過小評価するのもまた問題。事実Fiの弱いFJはこういったことをしがちですし、TPに至ってはそもそも「自分の価値」を意識出来ません。結果他人の言いなりになったり、自分のプライドを踏みにじるような行為を平気で許してしまう。

 

つまり、Fiユーザーは誰よりも「気高い」存在になるポテンシャルを秘めています。自分を自分で認めたい、肯定したい。故に自分を磨き、自分の価値観や存在にプライドを持ち、自分の存在価値を確固たるものにしようとする。これは間違いなく自己の成長に繋がります。

 

ここまで読んだ方は、一つ気付いたことがあるかも知れません。FiとTeには密接な関係があるという事に。Teは他人からの評価や、社会的・客観的な承認を求める機能でもあります。そしてその欲求の根底には、少なからずFiが関与しています。

 

Te優位のTJなら、自分の存在価値を認める・確かめる為にTeを使う。Fi優位のFPなら、更なる自己肯定感を得る為にTeを使う。いずれにせよ、Teを使い他者から認められようとするのは、「自分を認めたいから」ではないでしょうか。言い換えれば、Fiは周りからの評価を得ようとする意志の原動力になれる、ということ。

 

Fi-善の源となる優しさ

 

Fiにはもう一つ、重要な役割があります。それは特に自分の様なFJ達にとって必要不可欠である、「モラルの提示」です。何が良くて、何が悪いのか。善とはどのようなもので、悪とは何なのか。こういった価値観を自ら感じ取り、判断するのはFiです。Fiユーザーがハッキリと「これは良い」「これは悪い」と理解しているからこそ、Feユーザーは良し悪しで判断を下すことが出来るのです。

 

モラルが欠けた社会に、倫理は存在し得ません。何故か。モラルは倫理の「源」だからです。他人を気遣って、他人の価値観に合わせて、他人と感情・善悪観を共有して。こういったFe的な行為はFiが存在して初めて成立することであり、Fiが欠ければ世の中の誰も「良い人」になろうとはしません。その必要が無いからです。Feを使う為の判断材料も無ければ、使う意味すらない。

 

そういう意味で、これまでの社会的な改革・運動は強いFiがキッカケとなったものも多いでしょう。一人のFiユーザーが「このままでは良くない」と感じ、それを察知したFeユーザーがいた。Feの共感力は連鎖的な「感情・善悪観の共有」を引き起こし、多数が同じ価値観を共有しだす。結果的に大きな変化を起こすまでに至った。こういった見方が出来ます。

 

Fiユーザーには「プライド」と「モラル」を持つことを意識して欲しいです。自分の価値を受け入れ、自分を良い人だと認識することは確実に自分を高めようとする原動力になるでしょう。主観的な善を意識出来るからこそ客観的な善を生み出す者が現れ、改革を引き起こす礎となり得ます。

 

Fe-善を広め、他者を気遣う優しさ

 

Feが使える人はよく「空気が読める」「優しい人」といった評価を受けます。確かにFeは他人の感情を察知して、それを基準に判断する機能。ただ、これもまたFeの全てだとは言い難い。

 

Feが担う大きな役割の一つは、「善を広める」ことだと思っています。社会における倫理を作り上げる力、と言っても良いでしょう。皆にとって良いことは何なのか。客観的な善とは何なのか。これを判断し、共有し、広めていく力を秘めているのがFeです。

 

先程、Fiが道徳を作り出すと言いました。ただそれだけでは変化を起こすのに不十分。道徳はあくまで主観的な価値観でしかなく、言ってしまえば独りよがりになってしまうことも多いです。個人の持つ「善の心」を独りよがりで終わらせない。その為にFeは存在しています。

 

Feを使いこなすことが出来た時、公平な選択肢、多数が良いと感じられる価値観。こういったものをFiを基に作り上げ、広めることが出来ます。これはいずれ社会を変える程の影響をもたらすことも大いにあります。INFJとされている偉人達による功績を見てみれば一目瞭然。ガンジーキング牧師等、人々の為に立ち上がったFeユーザーは、今なお語り継がれる価値観・倫理観を作り上げました。

 

Fe-「正論」だけでは意味が無い

 

Feにはもう一つ、忘れてはならない役割があります。それは「考えを伝える架け橋」となること。

 

Tiユーザー、特にTPの皆さんは、時折Feの大切さを忘れてしまうことがあるのではないでしょうか。かくいう自分も例外ではありません。

 

「正論であれば何を言ってもいい」

 

これは一見正しいように思えますが、違います。確かにTiを使って論理的な考えを生み出し、それを伝えることはとても有意義で価値のあること。でも、それを受け取るのが「人間」であるということを忘れてはいけない。

 

人は心を持っています。感情を持っています。他者から否定される時、たとえそれがどれだけ論理的で筋の通った正論であっても、多少は傷付くものです。

 

「お前は○○が出来ていないから結果が出ないんだ」

「お前のこういう所が間違っているからダメなんだ」

 

成熟した人や、感情的にならずに指摘を受け取ることが出来る人であれば、こういった言葉は意味を成すでしょう。あなたの考えはきちんと伝わり、他者の役に立ちます。ただ、皆がそういう人ではない。寧ろ、そこまで冷静に考えを取り入れることが出来る人の方が圧倒的少数でしょう。

 

確かに、どんな人もいずれは成熟して、他人の意見を受け入れる器を手に入れるべきだとは思います。ただ、これは皆が簡単に出来ることではない以上、段階を踏んで、少しずつ成長する余裕を与えてあげなければならない。まだ成長途中の相手に向かって、ただ単に正論をぶつけたところで、その人を傷付けることにしかなりません。

 

Tiだけに頼って考えを発信している人は、例えるなら小学生に向かって難解な理論を解説しているような人です。相手の理解度を鑑みず、相手がどう感じるかも考慮せず、ただただ「言葉の羅列」だけをぶつける。挙句の果てには「何故こんなことも分からないんだ」と怒り狂う始末。

 

Tiユーザーは必然的にTeが弱くなる為、「相手は自分の考えを理解出来るのか」ということが分かりません。なら、誰かに自分の考えをきちんと伝えたいのであれば、Feの補助は必要不可欠だということです。

 

言葉遣いに気を付ける。相手の顔色を窺いつつ話す。これだけで聞き手はあなたの考えを受け入れやすくなるでしょう。伝えられたこと自体は、厳しい真実。ただ、少なくとも、相手はあなたの「思いやり」を受け取ることが出来る。それだけで自然と気持ちは和らぎ、「きちんと聞いてみよう」という心構えになることでしょう。

 

まとめ

 

自分の感情を感じ取るFi。他人の感情を感じ取るFe。これらは「感情」という言葉故、勘違いされやすい機能でしょう。

 

F機能は単に感情に関連するだけのものではありません。Fiは自分の存在価値、そして人としての良し悪しを意識させ、プライドと道徳観を生み出す。Feは他者の道徳観を基に倫理観を作り上げ、思いやりを持って正しさを伝える。いずれも自他、強いては社会にとって重要な役割を担っています。

 

これを機に、「T機能を使えた方が優秀」等の考えに惑わされないで下さい。正しければ良い、感情を捨てた方が良い。それでは機械も同然です。自分も他人も、人であるという事を忘れないで下さい。